🌻 母と暮らしたのは生まれてから18歳、高校3年まで。日常生活の中で、母はよく、ことわざを口にしていたように思います。母自身も父から「這っても黒豆」なんて言われていた話は、この前書きましたね。現在一人暮らしの私ですが、徒歩10分余りのところに住む妹が、ほとんど毎日のように訪ねてくれて、世の中への怒りや昔の思い出話や、ときには昔の歌を歌ったりして、1時間余りを過ごします。そんなとき必ず話に出るのが、母の思い出。母が折に触れて口にしていたことわざを言い合っては大笑いしています。六つ違いの妹ですが、この年になってきょうだいで、思い出話をして笑い合えるのは本当にいいものです。
「朝雨と女のうでまくりには驚くな」「朝日のチャッカリ、姑のニッコリ油断がならぬ」「朝霧まいて降ることなし」 お分かりですか? 朝の空模様から今日の天気予報を言うのです。
現在はテレビが呆れるほど懇切丁寧に「天気情報」を流しますね。天気だけでなく、着るものとか持ち物、洗濯物の干し方まで(朝は厚手の上着、昼は半袖云々、折り畳み傘を持てとか、長い傘がいいでしょうとか、洗濯物は、午前中は外干し、午後は家の中でなどなど)そこまで言うかとうんざりするほど。テレビなどというものは想像もできなかった頃、人間は自然と一体の暮らしをし、その中から生活に必要な知識を得ていたのですね。
私が朝に夕に空を眺め、朝焼け、夕焼け、雲の動き形、月や星に関心を持つのも、子どもの頃のくらしの影響というか母の影響かな。東京には本当の空がないと智恵子が嘆いた頃の東京の空は、今とは比べ物にならないくらい澄んだ空だったはずですが、それでも、智恵子は嘆いた。21世紀の現在は本当に綺麗な空を見ることが少ない。夜は街の明かりが(我が家の近所では、街灯や家々の玄関灯など)たくさんあって、星が見えない。天の川までよく見えた信州の夜の星空が懐かしい。(今は田舎も夜も明るいかも!?)
今、一番見たいのは「すばる」です。堀内敬三作詞の「冬の星座」〜オリオン舞い立ち すばるはさざめく〜 大好きです。我が家からもオリオンは見えるのですが、すばるはどんなに目を凝らしても確認できません。死ぬまでにもう一度見たいものの筆頭です!
清少納言も、星の筆頭に「すばる」をあげています。
* 枕草子「一」は、かの有名な「はるはあけぼの」ですね。
その「二五四」に「星は すばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。」と、あります。清少納言も「すばる」が好きだったのかと、嬉しくなっちゃいます。
<なお、「よばい星」とは、「流星の異称」と 「広辞苑(第7版)」に載っています。>