2022年10月28日金曜日

N0.693~2022年10月28日(金)〜おかあさん〜75年前の「つづりかた帳」より

 


1947年小学校2年生の時の「つづりかた帳」

ザラザラの粗末な紙。鉛筆の字も薄れ、

うっかりすると紙も破れそうですが、私の宝物の一つ。

筆で名前を書いてくれたのは父。

「あかちゃん」「うさぎ」「おかあさん」

「えんそく」などなどの作文が書いてあります。


プロテアナオコばあちゃん2年生7さいのときのもの。75年前のことです。上の写真のように、原文は、句読点もなく読みにくいので、手を入れて書き写しました。言葉使いは、実際とは違って、作文の時は、いわゆる「標準語」を使うように指導されていたようです。実生活では、自分のことをわたくしなどとは言わず、女の子も男の子も大人も子どもも「おれ」でしたし、母のことは「おかあちゃん」または「かあちゃん」と呼んでいました。実際の話し言葉で書くと赤文字のようになるのですよ。面白いでしょ。

「おかあさん」                  

うちのおかあさんは、まいにちごはんをたいたり、おつゆ」をにたり、おせんたくをしたり、あらいもの」をしたり、たびやようふくをつくって」くれます。

おかあさんは、まい日まい日それをつづけています。わたくしがまいあさおきてみると、もうちゃんとごはんのよういをして、みんなのおきるのをまっています。

わたくしのうちのおかあさんがしんだら、わたくしがそれをみんなやらなくてはなりません。わたくしのおかあさんは、いるからいいけれど、「あきらさん」のおかあさんはしんだので、わたくしは、あきらさんのことを思うと、かわいそうでかわいそうでたまらなくなりました。

わたくしは、おかあさんがいるからほんとにいいと思いました。

(おらちのかあちゃんは、まいにちまいにち、ごはんをたいたり、おつゆをにたり、せんたくしたり、あらいものをしたり、たびやようふくをつくってくれるだよ。)

注 「おつゆ」とは、味噌汁のこと。「あらいもの」とは、食事の後片付けのこと。食器や、鍋釜などを洗うことです。「たびやようふくをつくる」とは、繕うこと。当時は、靴下ではなく足袋」でした。敗戦直後の、全くもののない時代、足袋も洋服も擦り切れたり、穴が開いたりしたものを丁寧に繕って大事にしていました。きょうだいの多い時代、下の子は、上の子のおさがりを着ていました。
 「あきらさん」とは隣の家の子で、同級生の男子。お母さんは病死。「あきらさん」は、高校まで私と一緒で、大学は別でしたが、現在の消息はわかりません。

🌻 母は1902年10月30日生まれ。明後日は生誕120年の記念日。母は、夫亡き後、信州の家で一人暮らし。少々認知症気味になった82歳の時、我が家に来て、私たち夫婦と同居。私は現役、夫は退職していたので、彼は、ほんとによく母の世話をしてくれた。母は、2年後、脳梗塞で息を引き取った。母の生涯は、波乱万丈。なんとかその一端でも書いてみたいと思いますが、早くしないとあなたの命が尽きてしまうよと、どこかから声が聞こえます(😛)