*発行所 東京書籍株式会社 定価1980円(本体1800円+税10%)*
マリオン・ヴァン・ランテルゲム 著 清水珠代 訳アンゲラ・メルケル
東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで
☺️ メルケルさんの評伝ゲット!なんて大騒ぎしなくても、今日馴染みの書店に行ったら平積みどっさり!目次を見たら、第3章「独特のライトブルー」とあるので、この文字色もライトブルーにしました。その第3章の初めの何行かを書き写します。
第3章「独特のライトブルー」
「私の教え子の中でもっとも数学的センスのある生徒でした」
ハンス=ウルリヒ・ベースコウ(メルケルの恩師)
バルト海沿岸のドイツ人の瞳はたいてい、独特のライトブルーだ。東ドイツの歴史は、その瞳をますます神秘的にした。さまざまな歴史的経緯で用心深さが身につき、自分の正体は明かさずに相手の本心を探るような目つきになったかのようだった。北方の人らしい慎ましさに加え、東西を隔てる壁のこちら側で植えつけられた警戒心が瞳に宿ったかのようだった。共産主義政権が全体主義の浸透に成功し、どんな仲間もスパイになり、どんな腹心の友も密告者となりえた時代だった。アンゲラ・メルケルは二つの極を持つ女性だ。北の簡素さを受け継ぎ、東の用心深さを身につけた。結果、彼女は反射的に控えめな笑みを浮かべる癖がついた。高圧的ではないが毅然とした態度、静かな勇気。鋭い刃で突き刺すような、そして「どうぞその調子で。あなたが誰かは分かっているし、あなたの言いなりにはならないわ」とそっと囁くようなあのライトブルーだ。アンゲラのポーランドの血がこのブルーの効果を強めた。
書き写しはここまでにします。303ページ第19章まであるけれど、今夜どこまで読めるかしら。なお、第1章は「メルケルは去っていく」です。