2021年11月13日土曜日

NO.332 ノンちゃん雲に乗る

今日、11月13日(土)、毎日新聞朝刊の書評欄に、「ノンちゃん雲に乗る」が取り上げられた。(下の写真)

ここに取り上げられたのは1967年福音館書店発行の絵本だが、我が家には昭和26年(1951年)発行の単行本がある。何回も何回も読んだ懐かしい本だ。この本は、文部大臣賞を受賞し、単行本の表紙カバーには、坪田譲治「受賞おめでとう」の解説が載っている。



<ノンちゃんの大臣賞>(1)(表カバー)
坪田譲治
 ノンちゃんが文部大臣賞になりました。おめでとうぞんじます。もう、新聞でごぞんじと思いますが、ノンちゃん、それを聞いて、どんなに喜びましたか。すましていましたか。はしゃいでいましたか。明日にでもお祝いに何か買って、ノンちゃんをたずねたいと思いますが、何がいいでしょうか。お人形でしょうか。ヨウカンでしょうか。それとも西洋菓子なんかなのでしょうか。.........昨晩一晩、私はこんな夢を見ていた。夢の中でくりかえしていた。しかし、ノンちゃんなんていう子供なんか、どこにもいない。考えてみれば石井桃子氏の作中にいるばかりだ。それなのに、私には石井桃子という名前が一つも頭に浮かんでこない。ノンちゃんが東京のどこかにいるようにばかり思われる。
<ノンちゃんの大臣賞>(2)(裏カバー)
 ノンちゃんは小学校の二年生で、優等生で、級長で、すまし屋で、おてんばで、なき虫で、いやいや何より、かわいい子供である。どうも、私には昨夜の間に、このノンちゃんが私の孫であったように思われだしてしまった。そして、大臣賞をもらったのは、石井桃子でなくて、二年の級長ノンちゃんであると思われてしまった。ノンちゃんはそれほど実存し、それほど人々の愛情を引き出すように描かれている。
 小学生が読めば、これはまたとない友達となる。中学生には夢にも見る妹である。成人には娘、老人には孫となる。野口雨情の「青い目の人形」が我が国の津々浦々まで声張り上げて歌われたように、私はこのノンちゃんが現代日本のマスコットたらんとしているように思われてならない。噴騰し、崩壊し、混乱する今の日本の社会状態の中で。



表紙カバー
















坪田譲治が最後に書いている噴騰し、崩壊し、混乱する今の日本の社会状態」とは、この本が発行された昭和26年当時の日本の現状をみれば肯ける。
 *詳しくは歴史年表などで確認してほしいが、まだまだ戦後の混乱が続いていた。
 *下の写真二枚は単行本より。
 
                            
ブログ筆者の責任です。すみません。