2022年3月9日水曜日

NO.451 2022年3月9日(水)「ゲルニカ」が待つ平和


この写真は、私たち夫婦のゲルニカ訪問の記念に買ってきたもの。額装は帰国してからで、我が家の宝物の一つ。玄関に飾ってある。



昨日、3月8日(火)の東京新聞夕刊3面「世界の街〜海外リポート」ニューヨークの話が載った。記者は杉藤貴浩さん。

その記事のタイトルは「ゲルニカ」が待つ平和。

 193カ国が加盟する国連。ニューヨークの本部ビル2階の安全保障理事会議場前には、巨匠ピカソがスペイン内戦の悲惨さを描いた「ゲルニカ」複製タペストリーが飾られている。国連が目指す国際平和と反戦の象徴だ。

 先日、各国の国連大使や外交官が、この「ゲルニカ」前に集まり、ウクライナ国旗を広げて報道陣の写真撮影に応じた。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの連帯を示すためだ。そこで、あまりの人数の多さに記者側から質問が飛んだ。「今、何カ国の代表がいるんでしょうか」

 「193だよ」。即座に外交官側から数字が返ってきた。狭い議場前、実際にそんな多数がいたわけではないが「みんながウクライナを支持している」と伝えたかったのだろう。少し場が和らぐ。そして誰かが続けた別の軽口に、寂しい笑が広がった。「あ、192か」

 ただ一つ引かれた数は、むろんロシアの分。スペイン内戦に続く第二次大戦では、前身のソ連が世界最多の死者を出した国でもある。その大統領が戦火の愚かさを思い出すのはいつか。「ゲルニカ」は、静かにその日を待っている。(杉藤貴浩)

 

 この国連本部のゲルニカのタペストリーに関して、原田マハさんが書いた「暗幕のゲルニカ」という本がある。私が持っているのは、新潮文庫版(平成30年7月1日発行)。

カバーの紹介文を書き写す。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!