* 元気が出ない、鬱々とした気分の時、ふっと思い出す茨木のり子の詩「自分の感受性くらい」。さっき、茨木のり子の本が並べてある書棚を見たら、文庫本も含めて12冊ある。若い頃から結構買い集めていたみたい。ってひとごとみたいな言い方だが、買ったことを忘れているのもあって、「へ〜ずいぶん買っていたんだなぁ」と思った。ここ2〜3年余り手に取ることも少なくなったが、今日改めて読み返してみて、やっぱりいいなあと思う。
* 詩集<自分の感受性くらい> 1977年花神社発行 表題の詩は、この本の14ページに出ている。
自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ