2021年6月21日月曜日

153. 茨木のり子

 * 元気が出ない、鬱々とした気分の時、ふっと思い出す茨木のり子の詩「自分の感受性くらい」。さっき、茨木のり子の本が並べてある書棚を見たら、文庫本も含めて12冊ある。若い頃から結構買い集めていたみたい。ってひとごとみたいな言い方だが、買ったことを忘れているのもあって、「へ〜ずいぶん買っていたんだなぁ」と思った。ここ2〜3年余り手に取ることも少なくなったが、今日改めて読み返してみて、やっぱりいいなあと思う。

* 詩集<自分の感受性くらい> 1977年花神社発行 表題の詩は、この本の14ページに出ている。


         自分の感受性くらい


          ぱさぱさに乾いてゆく心を

          ひとのせいにはするな

          みずから水やりを怠っておいて


          気難しくなってきたのを

          友人のせいにはするな

          しなやかさを失ったのはどちらなのか


          苛立つのを

          近親のせいにはするな

          なにもかも下手だったのはわたくし


          初心消えかかるのを

          暮しのせいにはするな

          そもそもが ひよわな志にすぎなかった


          駄目なことの一切を

          時代のせいにはするな

          わずかに光る尊厳の放棄


          自分の感受性くらい

          自分で守れ

          ばかものよ