!明日23日<沖縄慰霊の日>をまえに、46年前に発表されたこの詩を!
四海波静
戦争責任を問われて
その人は言った
そういう言葉のアヤについて
文学方面はあまり研究していないので
お答えできかねます
思わず笑いが込みあげて
どす黒い笑い吐血のように
噴きあげては 止り また噴きあげる
三歳の童子だって笑いだすだろう
文学研究果さねば あばばばばとも言えないとしたら
四つの島
笑ぎに笑ぎて どよもすか
三十年に一つのとてつもないブラック・ユーモア
野ざらしのどくろさえ
カタカタカタと笑ったのに
笑殺どころか
頼朝級の野次ひとつ飛ばず
どこへ行ったか散じたか落首狂歌のスピリット
四海波静かにて
黙々の薄気味わるい群衆と
後白河以来の帝王学
無言のままに貼りついて
ことしも耳すます除夜の鐘
* 四海波静 初出 1975.11 ユリイカ<現代詩の実験>
詩集「自分の感受性くらい」(初版第七刷1982年)より引用
(12行目の笑ぎには、エラギとの振仮名つきです。なお、よくよく注意して引用しましたがもし写し間違いなどお気づきでしたら、お知らせください。ナオコ)