2022年4月16日土曜日

NO.496. 毎日新聞書評欄より

 2022年4月16日(土)

毎日新聞4月16日(土)朝刊
今週の本棚
 「話題の本」

小川たまか著
『告発と呼ばれるものの周辺で』
(亜紀書房・1980円)

書評は
清田 隆之(文筆業)

映画界で「性加害」の告発が相次いでいる。監督、有名俳優、プロデユーサーなど、いずれも知名度や人事権を持つ男性がその立場を利用して性的な行為を強要するという構図だ。加害者が真摯に対応し、被害者ができる限り救済されることを願う。でも、それだけでいいのだろうか。こういった動きが「#MeToo 」と呼ばれているのは性差別や性暴力を量産している構造的な背景があるからで、その実態を我々男は当事者意識を持って直視すべきではないか。。
 小川たまか『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房・1980円)は、性暴力の取材を続けてきた著者が当事者たちの声を記録した1冊だ。<日々忙しく流れるニュースの中で、情報はわかりやすく刈り込まれていく。そして今ある社会の器でしか受け止められない。私の聞いてきた彼女ら彼らの声は「告発」という言葉に置き換えられた途端に、本人たちの身体から離れて、関係のない場所へ持ち去られていくように思えてならない。本当はもっと近くで聞いてほしい声だった。その思いをこの本に込めた。>
 本書の話題は多岐にわたる。著者自身も小学生のときから遭ってきた痴漢被害。学生バイトが日常的に経験しているセクハラ。被害者の落ち度を責め立てる二次加害。相次ぐ性暴力事件の無罪判決。男性ばかりの司法現場。男性弁護士たちの冷笑。女性蔑視が蔓延するネットニュースのコメント欄ーーー。すべて現実に存在するもので、同じ根っこでつながった問題であることを痛感し、愕然とする。
 2017年に性犯罪に関する刑法が改正され、#MeTooムーブメントも巻き起こった。19年にフラワーデモが始まり、メディアでもジェンダーの問題が頻繁に取り上げられるようになった。性暴力をめぐる状況は着実に変化している。でも、その過程には声を上げてきた人たちの途方もない苦労と尽力があり、その声をかき消そうとする力もまだまだ強大だ。俺たちに見えていない景色が確実にある。それを認めないことには話が始まらない。(🌻 原文通り書き写したつもりですが、万一間違いがあったらごめんなさい。なお、文字色は🌻の責任で所々変えてあります)

🌻 全く同感です。女性による男性への性暴力というものは、聞いたことがないけれど、
男性諸氏はそのことをどう考えるのかしらね。万一そんな事例があったら、男性はなんていうのかななどと、バカみたいなことを考えた。つまり、かなり多くの男性が金力や権力を振りかざして、あるいはチラつかせて、女性を意のままにすることが許されるのだと刷り込まれているんじゃないのかな。金力や権力がない場合でも、暴力で女性をねじ伏せることに罪悪感を感じなくてもいいのだと刷り込まれている。社会のあらゆる場面で、すべての個人が人間として平等であるという当たり前の認識が行きわたるようになるのは、いつのことかな。『差別意識』が人類から消えて無くなることは半永久的にないのかも。(どちらかというとプロテアナオコばーちゃんはペシミストなのです)🌻