2021年10月23日土曜日

NO.307  🍀かずちゃん便り🍀

🍀 かずちゃん便り 🍀

🌻かずちゃんは 体の具合でリハビリに通っている。そのリハビリでの出来事を便りに。🌻

🍀 ある日リハビリに行くと、リハビリセンターに入って一ヶ月ほどの方が私に「これ読んでください」と薄い冊子を差し出しました。で、こうおっしゃって。「ある日、降りてきた三十一文字。驚いて、でも神様に戴いたのだから、こんなものにしてみました。」5ページくらいのホッチキスで止められた「歌集」でした。そこには、

* 今は はや 息せざる弟を背に 

  直立不動に立つ子長崎  

焼き場に立つ少年や尾崎豊や、茨木のり子が歌われていました。

 こんなことを歌う人が通所リハビリの場に居られて、出会うなんて。

 私に声をかけてくださるなんて。

私は、私のように反権力であったり、反体制的であったり、などという人は身近にいるわけないと決めつけていたんですね、無意識に。それにしても小さな歌集に収められたラインナップに驚きました。そしてさらに次の一首!

* いつかまだ そのうち来るその日 

  青眼に構えて待つ ひたと 

背中をパシリと警策で打たれた思いでした。この一首を娘の連れ合いのおばあさまに、短冊に書いていただこう!お付き合いも薄い方なのに、娘夫婦の最初の子ども(おばあさまにとってはひ孫)に「命名色紙」を送ってくださったのに甘えて、短冊に手紙をそえて郵便投函しました。すぐに「私のような者でよろしければ」と優しい優しいお電話をいただき、「このような歌を何歳の方がお詠みになったのかと考えたりいたしました」と。

 彼女は88歳でつい最近病を越えられた方。やっぱりおなまえはかずこさん!歌の作者はあらかわさん。そしてお二人に甘えた私。三人の「女」の人生の交差点。

🌻 短編小説みたいな素敵なお話。茨木のり子は我が愛読書であり、焼き場に立つ少年の写真は我が家の居間に額に入れて掲げられている。不思議な縁。