2021年4月25日日曜日

76.チェルノブイリ35年(東京新聞24日夕刊より)

 *4月24日東京新聞夕刊7面に、本橋成一さん(81)の記事が載った。鈴木久美子の署名記事。

見出しは 汚染地区牛飼い 重い問いかけ

「人間の汚した土地だろう、どこへ行けというのか」

「放射能生態系崩す」

チェルノブイリ35年 本橋成一さん最新記録映像

*記事全文をうつすわけにはいかないので、所々を書き写す。

「人間の汚した土地だろう、どこへ行けというのか」。旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の強制移住地区に一人残り住む牛飼の老人の言葉を追い掛けて、写真家・映画監督の本橋成一さん(81)は約30年、現地に通い続けている。これまで写真集やドキュメンタリー映画をつくり、今年はこの言葉をタイトルにした40分の記録映像作品を監督した。事故は26日で発生から35年になる。(鈴木久美子)

「人間の汚した土地........」は、95年に出会った元教師の牛飼アルカジイ・ナボーキンさん=当時(83)=の言葉だ。「なぜ移住しないのか?」の問い掛けに返ってきたその一言に、本橋さんはショックを受けた。「自分は思い上がっていた。恥ずかしかった」

 ナポーキンさんは牛27頭の世話をし、ジャガイモを育てていた。古びたアコーディオンを演奏し、その音が人生を表現しているようだと映画に撮ろうと考えたが、ナポーキンさんは牛泥棒に殺されてしまった。

「みんな生きものは自然の中で生きているのに、人間だけが知恵をつけて地球の生態系のバランスを崩している。放射能はその最たるもの。コロナもそうでしょう。人間の暮らしを変えなくてはいけない。そのことにナポーキンさんはちゃんと気が付いていた。」

 今回の記録映像作品は、一昨年の訪問の様子をまとめた。これまでの映画で主人公になった少女や青年は都市に移住しており、久々に再会して近況を伝えている。ナポーキンさんの教え子だった男性に初めて会い、墓参りもできた。

 時は流れる。どこへ行けっていうんだいー。

 問いかけは深まっていく。

*30日まで東京都中野区の映画館ポレポレ東中野=電03(3371)0088=で上映予定だが緊急事態宣言期間中は要確認。

*以上が記事の書き写し。

*チェルノブイリ、私の書棚に岩波現代文庫版の「チェルノブイリの祈り 未来の物語」がある。スベトラーナ・アレクシェービッチ著 松本妙子[訳] 2015年ノーベル文学賞受賞。また同じ著者・訳者の2016年9月29日岩波書店発行「セカンドハンドの時代」もならんでいる。