2021年7月12日月曜日

NO.180 「政権与党」化した記者たちへ 

 *毎日新聞 デジタル より*(プロテアナオコは毎日新聞購読者で、ニュースメール受信)

「政権与党」化した記者たちへ 

政治ジャーナリスト後藤謙次さんの怒り

 深く静かに怒っていた。政治ジャーナリスト、後藤謙次さん(71)。自民党を長く取材し、ニュース番組の解説ではその温厚な語り口がなじみ深いが、昨今の政治に、何より記者の劣化に憤りを募らせていた。「いつから政治記者は『政権与党』の一員に成り果てたのか」と。[吉井理記/デジタル報道センター]

「報ステ」レギュラー降板は「政権の圧力」?

 雨がやんだ。梅雨空にわずかな薄日が差している。

 後藤さんと向き合ったのは国内外のメディアやジャーナリストでつくる「日本記者クラブ」(東京・日比谷)の、その薄日が差し込む談話室である。

 東京オリンピックにひた走る菅義偉政権と、これを報じるメディアをどう見るか。共同通信の政治部記者や「報道ステーション」(テレビ朝日)のコメンテーターなどとして、永田町取材歴40年を重ねる先達に問いたかった。

 冒頭で記したように、昨今の政治記者の振る舞いに少なからぬ憤りを抱いておられるご様子だが、それは後述するとして、まず国民の最大の関心事、東京五輪から。

 「私は東京五輪は返上すべきだという立場です。コロナ禍の最初から言ってきた。これが戦争なら戦場を避けて五輪を開くことは可能かもしれない。でもウイルスは違う。人の流れがある限り、誰もが危険にさらされる。開催という選択肢は最初からない」

 意外である。五輪中継はテレビ局のドル箱なのだ。そのテレビに今も出演する後藤さんの反対論だ。思えば昨春、4年にわたる「報道ステーション」のレギュラーを外され、不定期出演になった時も、安倍晋三政権を批判してきたことから「政権の圧力では」とささやかれた。

 「あの時は腰を悪くしていてね。入院が長引き、人事異動の時期でもあったので、身を引かせてもらったんです。安倍政権を批判して、圧力めいたことを言われたことはありません。五輪批判も気にせずやればいい。経営の話は経営者が考えること。現場じゃない。本来はね。」

 記者もあきれる「永田町の論理」

 「本来は」の一言に、今のメディア界への思いが凝縮しているが、ともかくも菅政権、五輪の中止や再延期を求める国民の声などどこ吹く風、五輪開催に突っ走る。

 (長くなるので続きは次回に、と言っても多分今日中には投稿します。ナオコ)